2017-03-03

仕事を失った話

さっき失職したようなタイトルだけど数年前の話です。

工業高校を出たけど就職が決まらなかった私は、

知り合いのつてで天ぷら屋へ丁稚奉公することになった。

そのころの私はお金をもらって、天ぷらがたべられるなんて天職だなと甘いことを考えていました。

はじめの1年は、ひたすら皿洗いで皿洗い以外のことはしたことがなかったです。

次の2年目は、さやえんどうのへたを取るなどの下処理と皿洗いを担当しました。

3年目になるとまかないご飯と皿洗いを担当するようになりました。

一人きつい先輩がいて、わたしとは水と油の仲だったのですが、楽しい職場でした。

1年目の秋に、この先輩があたらしく入った女の子にいい格好をするために、

自分右手に衣をつけて揚げだしたのですが、大やけどを負ったのでした。

そして4年目になり、新人の増太郎はいってきたので、私が彼の指導係と皿洗い担当になったのでした。

その増太郎はとにかく言われたことが出来ない、覚えられない男で苦労しました。

たとえば、大根おろしをすりおろしたあと、木綿の布で絞るのですが、

何度言ってもしまっている布の場所が覚えられない、絞ってから大根おろしをボウルに入れることを忘れる。

あげくのはてに、大根おろしをしている最中に、他ごとを頭で考えていたのか、自分の指をすりおろして、

もみじおろしを作ってしまうことがたびたびある……そんな男でした。

なので、増太郎にはとにかく厨房器具だけは絶対に触らないようにきつく言っていました。

そんな時に事件が置きました。

天ぷら油は店によって異なりますが、綿実油ごま油などいつくつかの油をブレンドするのですが、

その日は大将が体調が悪く、熱しながら混ぜている時に、トイレへ行きました。

この時、増太郎には「鍋、見とけよ!」と言ってたそうですが、結局出火するまで見続けていたそうです。

から炎が立ち上がり、あせった増太郎はボウルに水を入れ、ばっしゃーんと鍋にかけたのですが、

これが原因で、鍋の炎はパワーゲイザーのように燃え上がったそうです。

あせった増太郎は地下のお店から逃げ出しましたが、かわいそうな大将トイレで焼け死にました。

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