2016-10-09

鈴木君の限界

中学生のころ「ノアだけはガチ」というネットスラングが仲間内流行した。

中学生からプロレス見るのすきだし、取っ組み合いというか、プロレスもどきをやるのもすきだった連中だ。

間内しか通じない冗談で「ノアだけはガチ」と突発的に言い合い、笑い合うようになった。

しかプロレスゲームストリートファイター的なゲームをやりながら、勝ったり必殺技を決めたりした瞬間、突如叫んでみんなの笑いを誘った。

その内「ノアだけは八百」とふざけて言う奴が現れた。これもまた爆笑

鈴木君はそんななか一歩進んで「ガチだけはノア」からガチだけはガチ」「八百だけはガチ」という新手の改変ネタで仲間内爆笑を誘った。

ノアを使用しないところに新味があった。鈴木君はグループの時の人になった。

しかしこれが鈴木君の限界だった。

岡崎君がある日「ヤチだけはガオ」という、文字シャッフルした新語完璧タイミングで投下した。

仲間にしか解らない改変の、その行き着く先。女子や他の男子グループはこれを聴いても意味をなさなかっただろう。

しかし仲間たちには届いた。爆笑は起こらなかったように記憶している。「はははなんだよそれー」くらいのリアクション

しかし私は、慄然としていた。多分、他のメンバーもだ。

岡崎君は「ノアだけはガチ」改変の流れを把握した上で言葉をつくってきた。この発想に驚いたのだ。

なんというか、ルール改変の手際の良さに感服したのだ。これは例えば「ゾウだけはカバ」とか、ルール脱臼するものではない。

既存の「八百」「ガチ」をあくま使用して言葉をつくってきた。この「縛り」から新語を編み出してきた。

岡崎君がグループの時の人になることはなかった。


岡崎君は北海道大学に進学した。鈴木君は成蹊大学に進学した。

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