2011-08-01

私は決してばらの花園約束しませんでしたよ

先生現実なんて何になりますの?正義がすたれ、不正がはびこり、信をまもる者が苦しんでいる時に。ヘレンはエリス約束を守っていましたわ、私だってよ。その時に先生現実なんて何の役にも立ちやしない」

「分かっているでしょ?」<フェリイ>は言った、「私は決してばらの花園約束しませんでしたよ。私は決して完全な正義など約束しませんでしたよ。(博士はふとティルダを思い出した。ニュルンベルク病院退院して、かぎ十字の支配する町へ出ていったが、やがて戻ってきて、やすりのようにかたい作り笑いをして言った。『恒久平和先生あいつらはわたしよかずっときじるしよ!』)……平和幸福約束した覚えはありません。私がお手伝いするのは、あなたがそういうものと自由に戦うことができるためです。私が差し上げられる唯一の現実は『挑戦』です。よくなるということは、あなたに可能なそのときどきのレベルで挑戦を自由にうけいれるかどうかということです。私は嘘を約束しませんでしたよ。そして、ばらの花園、完全な世界うそです……もっとも、そんなところはたいくつな世界でもあるでしょうけどね……」

ハナ・グリーン(1971) 佐伯わか子・笠原嘉(訳) デボラ世界 みすず書房 pp140-141

ヘレンの為に、イアの敵となり、自らタンツクークーになったデボラのフュリイへの言葉

一貫性と正直さが、デボラにとってのフリード博士の最大の価値であったんだなぁ、と

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん