今思えば母は子供と自分を分離して考えられない人間だった
好きなもの買ってあげるよ、と言われたとしても選ぶべきは母の好きなものであって、決して私の好きなものではなかった
母の好みに合うものを選べなければ「好きなもの買ってあげるよ」は終わらない
「それじゃないでしょ」「ほかのにしたら?」「そんなのだめ」
そのうち自分の好きなものがわからなくなった
とりあえず母や友人の好きなものを好きになることにした
そんなある日、母は言った
「それはあんたの好きなものじゃないでしょ」
もうわからなくなった
私の好きだったネコのTシャツ
母は男の子みたいだからといって着せてくれなかった
習いたかったピアノ
母は書道教室を契約してきた
欲しかったかわいいシャーペン
母は自分の使い古したシャーペンをくれた
そうしてクリスマスにすら欲しいものがなくなった
母はディズニーのビデオを枕元に置いてくれた
優しい母
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