それは逆で、「わかりやすい悪役」で納得できるのはむしろ「頭がいい」人間。
「頭がいい」人間というのは、「わかりやすい悪役」を全ての責任にした、首尾一貫したストーリーを頭の中できれいに構築できる。「頭が悪い」と、そうした首尾一貫したストーリーを組み立てられないので、「世の中そんな単純じゃないのでは」という穏当な結論になる。
そして「頭がいい」人間というのは、「頭が悪い」人たちの無能力によるためらいや悩みが理解できない。「頭がいい」人間は自分を基準にして、「そんな簡単なこともしようとしないのは、保身や利権のせいに違いない」と簡単に「理解」できてしまう。
20年前に天才的に頭がいいと見られていた哲学者や社会学者が、最近は残念な発言ばかりしかしていないのが好例。適度に頭が悪いぐらいの方がいい。