僕の周りは充実している人ばかりだ。
交渉上手で顔が広い係長は、いつもいろいろな部署から上位職者自らが訪れてきて新規案件を依頼されている。
知恵者で人当たりの良いA君には、常に相談を持ち掛ける人が尽きない。
温和なBさんへはたとえ仕事の話でなくても、癒しを求めて雑談にくる人が絶えない。
それを僕は、僕の周りにだけ広がる静かな空間で聞いている。
今日も充実している。
動かしている彼らは輝き、頼りにして寄ってくる人も楽しそうで、
活発そのものだ。
僕はその場にいることは求められていない。
求められていないので、そのまま静かに過ごす。
僕は僕なりに行うことが課せられている仕事があるので
それを遂行する。
そんな言葉など全く聞こえていないかのように自分のなすべきを成す。
今日が終わった。
いつも通りに周りは充実していて、僕は静かだった。
明日が来る。
明日もきっと、周りは充実していて、僕は静かだろう。