2021-10-02

昨日指輪をつけたまま風呂に入っていたら不思議なことに気づいた。

ただのシンプルな金の指輪だと思っていたそれに流麗な文字が刻まれているのだ。

今までなぜ気づかなかったのだろう。

思えば、この指輪との出会い自体不思議ものだった。

5年前にスキー場で雪上バイクに乗っていたら猫の声が聞こえたような気がしたのだ。

私を呼ぶような猫の声に惹かれてその場所にいってみると雪の中から猫の声が聞こえるので

あわてて掘り返すと出てきたのがその指輪だった。

わたしが嵌めるにはサイズが大きすぎるように感じた指輪だったが

手にとって指に嵌めてみると誂えたようにピタリと指に纏わりついた。

以来、この指輪は常に私を正しい方向へと導いてくれる。

あのとき指輪の猫の声がわたしの心で硝子板をするように絶叫するので何事かと思い、

無我夢中で家を飛び出し導かれるように知りもしない山中をさまよいながら上へ上へと登ることで事なきを得た。

それにしても。

この指輪のことは秘密にしなければ。

のものかは知らないが、その持ち主に、この指輪のことを知られることは、絶対に避けなければ。

もとのもちぬしが、やってきたとしても、わたしはぜったいにかえさない。

いや、このゆびわは、わたしの、ものわたしのものなのだ

  • 最後の方はひらがなにしないで普通に書いて、読者に「ん?」と思わせるくらいの小さな違和感にした方が面白いと思う。

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