俺は近所のスーパーにいてインスタント味噌汁売り場にいたが品出しをしている店員が邪魔で棚が見えなかった
いや、本当は棚を見ようとしていたのではなく店員が座っているせいで棚が見えないという主張をしたかっただけかもしれない
そんな自分の薄汚さに気付いた俺は野菜コーナーの向こうにあるカーテン売り場に向かった
カーテン売り場には緑色や臙脂色のビロードの高そうなカーテンがたくさん吊るされていてそこにいたのが百合子だった
百合子は自らを軽蔑しきった俺の顔を一目見て手に持っていた緑色のカーテンをおろし慈愛に満ちた笑みをたたえてくれた
俺はこの人のためにならば全てを抛ってもいいと思い百合子にポケットに持っていた小銭入れとパスポートとスマホを差し出した
百合子はそれを紫色の袱紗に入れあなたが落ち着くまで預かっておきますねと包みを胸に抱いた
俺はもう小池百合子無しで生きていけない