2021-06-03

anond:20210602212001

「そ、それは」

 少年は、私が手で弄んでいるレイピアを見て後ずさる。

 目ざとい子だ。

 柄の紋章に気づいたのだろう

 そうこれは、数多の恐るべき海賊ハンターたちの手を躱しつづけ、冷酷無比で知られた女海賊サダ=アベの紋章

 すなわちこの細身の刃は、彼女がその手で何十人もの男の「命」を切り裂いた、あの魔剣である

 「ひっ」

 私の視線に、少年無意識にか、両手で股間を抑えた。

 少年にゆっくりと近づきながら、私は笑顔を浮かべる。

「怖がることはない」

 後ずさる少年が、ベッドに引っ掛かり、倒れこむ。

「私は彼女とは違う。そんなもったいない真似はしないさ」

 数多の血を吸った類稀なレイピアが、シャツボタンひとつひとつゆっくりと斬り飛ばしていく。

「あ、ああ」

 少年絶望と期待のまなざし

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