そう言うと大将はバリキャリのラーメンを運んできた。麺の中にとてつもないキャリアを積んだフェミニストじみた女が漂っている。
女は暫くスープの中で泳いだあと息絶え、男の口に運ばれた。高慢なバリキャリに負けないためにいつも男はここでラーメンを食す。
向こうのテーブルでも声が聞こえる。
「イケメン一つ」
年頃のJKだろうか。制服姿、それも一人で来るのははばかられるはずなのに、やってきたイケメンを貪るように食らっている。
胴と首が歯型で切り離されたイケメンが器の中でひとしきり暴れたあと息絶えた。彼女はイケメンを食いまくりたいらしい。
息子にそっくりな少年が小皿に乗って運ばれ、ピチピチしている。これは良い替え玉だと思った。受験シーズンしか食べることができない。