2020-11-24

愚痴

少しだけ愚痴らせてくれ。

わたしは昔、ある人を愛していた。彼女は気性が荒いが聡明で、好物を食べると目元が緩む、子犬のような人だった。結婚したいと思った。我々はとても気が合ったし、趣味も多く共通していた。

でも、結婚できなかった。理由は様々にあった。わたしの抱える問題彼女の抱える問題。周囲の反対。

幾年かが経って、わたしは別の人と結婚した。優しく、愛らしく、そしてわたしのことを何よりも考えてくれる人と。今、静かに幸せ暮らしている。

けれども、今でもなお、朝起きると、昔のことを思い出してしまう。あの時もっとこうしていたらよかったのではないか。後悔とも反省もつかぬぼんやりとした思考が、まだ誰も起きていない明け方の空を見つめながら流れていく。もうどうすることもできないのに。

どうしてなのかはわからない。今でもわたしの魂の一部分はあの頃に置き去りにされていて、また一つになることを望んでいるかのようだ。

どうしていいのかもわからない。どうすべきなのかも。

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