2020-07-22

たまに、どこかに逃げたくなるときがある。

就活生だったとき、急に思い立って高崎まで行ったことがあった。

どうしても胸の辺りがもやもやしていて、何かを頭で考える気にもなれなかった。高崎線の車内でひたすらぼーっと過ごしていたのだけは覚えている。駅についてから特に観光名所に行くわけでもなく、売店で釜めしを買ってかきこんだ。

からすれば、意味のない行為かもしれない。

けれども、私にとっては、自分のことを知らない人ばかりの車内で体をシートに預けていたあの時間こそ、現実から逃避行であった。

もし私が飛び込んだのが車内ではなく、線路だったら。そんなこともたまに考えたりする。

記憶とは厄介なもので、吸い込まれそうになる体をぐっと堪えたときの変な力の入れ方は、いまだに感触として覚えている。

勇気が持てなかっただけ。まあ、それでいい。

もし、黄色点字ブロックを越えそうになった日が来たら、その時はまた、釜めしを食べに行こう。

  • 死ぬ前にうまい飯食って風呂入って寝よう。 死ぬのは明日でいい。

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