生きるための条件として労働を強要される時代が終わったあとの世界を行きたかった。
それが夢だった。
無理だった。
おれは望んだ世界を行くことも、望んだ世界を作ることも出来なかった。
下等なるもの遊ぶべからず。されど、天与人権の象徴たれるもの、この限りにあらず。
その隙間に埋もれたる無数の弱者として、苦しみ蔑まれながら生き続けるために働き続けるのが本当に辛かった。
俺が行きたかったのは下等を受け入れれば酔生夢死のボヘミアンとしてただ何も生み出すことなく生きれる世界。
この道の先にそれはなく、その果てへと道を伸ばすには己は無能すぎた。
全ての人間が、真に天与人権の神話のもとで暮らせる社会。己の心を炉にくべられることを拒絶し続けても生を許される社会、その道の半ばに生まれ落ちれることだけを望む。
そして、それはもう生まれ落ちたあとの今では叶わない
全てを破壊すればなれるぞ