歩きスマホをしている人間はこちらを見ずにずんずんと歩いてくる。一方私はぶつかると危険なので道を譲る。相手は私に一瞥もせずに我が物顔で道を専有する。これが嫌なのだ。本来お互いに五分五分、道を譲り合い避け合うべきなのに、私が一方的に労力を割き、相手は何もしない。完全に私の敗北だ。自分よりも年齢の低い相手には、年端もいかない若造がこなくそと、自分よりも年齢の高い相手には偉ぶりやがってこなくそと、怒りが燃える。歩きスマホでなくても同じだ。複数人で横並びに歩いている人間が正面から歩いてきたときに、彼らは決して避けようとしない。なぜ私だけが避けなければならないのか。自分が惨めに思えて、腹が立つ。歩きスマホの相手に自らぶつかりに行くおじさんもきっと自分と同じ気持ちなのだろう。ドストエフスキーの地下牢の手記で将校にわざとぶつかった彼も同じ気持ちなのだろう。歩きスマホが危険だから嫌なんじゃない、自分が不当に不利益を被るのが嫌なんだ。
並んで歩く友達つくりなよ🚶♀️