まるで春先の水田のように、視野一面にちっちゃいのがチョロチョロ動いていた。
もちろん知識や映像では知っていたし、特に驚くことではないはずなのだが、どんなことでも実体験というのは衝撃的だ。
現時点ではまだ生命でも何でもなく、運動能力があるだけのただの細胞らしいのだが、ネズミ花火みたいな勢いでのたうち回っているやつもいれば、優雅に泳いでいるやつもいたりして、なかなかに個性的だ。
この一滴に何匹いるのか分からないけども、全員間違いなく目的を果たせずに死んでいく(不活化?)ことを思うと不憫でならない。何とか飼えたりしないのかとバカなことを一瞬考えたりもした。
しばらくはもう、出せないかもしれない。