2018-11-03

青い犬が視えた

ある日、青い犬が見えるようになった。ストレスからだろうか。一人暮らしの部屋に、営業先のエレベーターに、いいタイミングでひょっこり現れるのだ。ワンワンと鳴いて励ましてくれるので、一緒に暮らしていた。

彼は文字を食べた。

するとだんだん大きくなって、豆粒ほどの大きさだった彼はいしか六畳のワンルームを埋め尽くした。これでは暮らせない。そう思い、その犬を置いて引っ越した。でもそうすると寂しくて、すぐに拾ってしまった。

新しい部屋は前よりも広かったのに、すぐに埋め尽くされた。それからは日に日に大きくなる犬に押しつぶされながら暮らした。

ある日、不手際で彼にぶつかってしまった。すると、パンと風船のように割れて、青い犬は消えてしまった。

最近、私の前に青年が現れた。

彼は私を知っている。私も彼を知っている。だって、ずっと一緒にいたのだ。

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