牛乳とプロテインを混ぜて温めるために、電子レンジに入れた。どうも、上手く出来なかった。温めすぎ。吹きこぼれちゃった。白の懸濁液が、カップのふちについた。ダマになった粉の塊をつぶす。見慣れたティッシュに吸い取らせるあのドロッとした感じを連想した。あれ、俺って、元々は、こんな感じの父親の精液から生まれて来たんだな。
とすると、母親からは、くすんだレバーの肉汁のような赤色の液体と混じり合って自分は出来たのだ。元々は、その時には、オレという心はなく、ただのオタマジャクシのできそこないのようなヤツとタマゴとが出会ったような塊が、オレの以前の姿だったのか。
それから、考えたら進化はしてるわけだが、みんな人間なんて、そうやって生まれて来たんだから、別にどうということはないな、どうということはないんだな。人の形としてこの世の中に出てくる人間なんて、ごまんといるわけで。
別に、どうということはないが、一瞬、そんな物質から何かを書いたり話したり、言葉を出せるようになっているだけでも、大したもんではないかと思った。みんなが出来ることではあるんだが。
赤色の液体は妊娠成立とは関係がないので…