心が締め付けられたことはたくさんあるのだけれど、あの、小室哲哉が、
などというカミングアウトをしなければならなかったことに、何とも言えない悲しみを覚えている。
全盛期の小室哲哉は、モラルなんて全然ない、有り余る才能と金に物を言わせ、やりたい放題やる男だった。
控えめに言って音楽がなかったらほとんどただのクズ、いや音楽があってもただのクズだった。
そんな彼が、自分には男性機能がもう働かないから不倫なんてない、けれどこれを戒めとして音楽を辞める、と、それを失ったらもう彼が彼でないものを全て捨てていいと言うほどに、何もかもに疲れてしまっていること。
ただただ悲しく、ただただ虚しかった。
こんなもの見たくなかった。
満員のスタジアムでスポットライトに照らされて、照れ臭そうに片手を上げて去っていく彼。
女癖が悪くてモラルのかけらもないけれど音楽の神様だけには愛されてる、そんなクズのままでいいから、そんな彼を見送りたかったよ。