昨日帰った後に、スーパーで買ったものを冷蔵庫に入れ忘れて台所の棚に置きっぱなしにしていたのが原因だろうと気づいたが、もう後の祭りなので、寝起きの私は虫取り網を取りにわざわざ部屋の外まで出ていかなければならなかった。
その間にも、一緒に買った野菜類、例えば玉ねぎやキャベツや人参が部屋の壁や床に根を張っていたし、牛肉は床をゆっくりと動きながらモーモーと鳴いていた。きっとお腹が空いているのだろう。一緒に買ったビスケットは特に何もしていなかった。
これらを全部冷蔵庫に放り込まなければならない。大変な重労働だし、やりたくなかったが、やらない訳にはいかないのだ。
虫取り網を持って戻ってきた私はサンマを見上げた。サンマは果たしてこちらのことに気づいているのだろうか、相変わらず泳ぎ回っている。わたしは精神を集中し、持っていた網をそのままサンマ目がけて投げつけた。網の取っ手の部分が命中したサンマはそのまま床にぼとりと落ちて動かなくなった。私はほっとして、サンマを掴もうとした。その瞬間、サンマの腹から二本の足が生え、物凄い速さで部屋の中を走り始めた。とても自分の力では捕まえられないような速さだった。
サンマは足が速いということをすっかり忘れていた。長い戦いになりそうだ、と私は思った。
カクヨムでやれクソ雑魚ナメクジ