その人は香川真司が好きだった。
それまでサッカーなんて一ミリも興味のないキモヲタ自称できる僕が、香川真司を興味本意で色々調べて、少し知った。
香川真司って、すげぇかっこよくて、前向きで、愚直で、すげぇ嫌な気持ちになった。
香川真司が単身でドイツやらイングランドで戦ってるあいだ僕がやってたのはヲタっぽいことだけだ。なんて情けないんだ。
香川真司はかっこいい車に乗ってかっこいいことを話してなのに気さくで、もう辛い。
小汚ない営業車に乗って小汚ない取引先に行ってどうでもいい商談をする自分があまりにも不甲斐ない。
空しい。
仮に自分のフィールドでどれだけがんばったってなにをしたって、意味はない。
もう十数年働いているが、目的意識なんかない。空しい。
生きていることがこんなに空しいなんて初めて知った。
ただ、サッカーがおもしろいって初めて知ったしワールドカップ予選なんて知らなかったけど、明後日も見るよ。香川真司が活躍することを願って。