2015-09-23

朝、起きてぼーっと冷蔵庫のぞくと、沢山のタッパーを見つける。あー、彼女らしい。

もう無理。と、打ち明けられた。僕がいかに駄目であるかを冷静に淡々と語られたとき、あー終わったのだと思った。

言い切った彼女に「そうだね。」とだけ返して、寝室に逃げ込んだ。彼女は、その日の夜のうちに出ていった。

身支度にしては、やけにキッチンがうるさいなあ。とは思っていたが、そういうことだった。

あれ、これ。電子レンジでチンして良かったけ。と、思ったころには遅かった。プラスチックが溶けた異臭がする。

慌ててタイマーを切っても、黒ずんでグニャリと曲がったタッパーが出来上がっていた。そのまま放置する。

無駄にしてしま申し訳ないな。と思いながらも、食欲は無かったので、こってりと脂っこい酢豚を食べなくて良いのは少しほっとする。

なんとなく、別のタッパーを開けると、唐揚げが入っていた。小さいの1つ取り出して、食べる。

冷え切ってはいたが、砂糖醤油の甘辛い下味がしっかりとしていたので、美味い。

モグモグと噛みしめていると、玄関が目に入る。扉を開けると彼女がいたりしないかなととぼんやりする。

なんだっけ、シュレーディンガーの猫みたく。

ああでも、部屋に閉じ込められてるのは僕か。既にプラスチック異臭で部屋は満たされている。

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