大学から五年間付き合っている相手がいる。頼れる相手だし、一緒にいて安心感を得られる。むこうから告白されて付き合っているが、今ではわたしも劣らず好きだ。
お互いに就職して、いまでは会えるのは週二日だが、平日でもLINEで頻繁に連絡を取り合っている。
わたしたちは決して周りに引けをとらないくらい、上手くいっていると思う。喧嘩も少ない。相手のことを愛しているし、愛してもらっている。
ふたりの年収が合わせて500万を越えたのを確認した時には、朝まで酒を酌み交わした。
このさき何も起きなければ、わたしたちは結婚する事になるだろう。そしてそこそこ幸せな家庭を作るために汗を流す。
でも死ぬときに最後に思い浮かべるのは、初恋の人だ。今の相手ではなく。そんな確信がある。
わたしと初恋の人は、特別仲が良かったわけではない。ひょっとしたらあの人は、わたしのことなんて忘れているかもしれない。
それでもあの人との思い出は、今でも心の深い部分に澱のように溜まっていて、ふとした時にそれが舞い上がって、わたしの感情になっている。そんな気がする。
今の相手に、本当に誰かを好きになったことってある?と聞いてみたことがある。
屈託のない笑みで、君の事が好きだ。と即答された。
わたしは微笑むしかなかった。