夜の明け方の頃、私は目が覚めた。
寝ていた、という訳じゃなく、そんな感じだっただけ。…いや、本当だよ!?
よし、また眠…あれ?後ろに回した手と、肩に重みを感じる…気のせいかな…年のせい、という訳は無いし…私は横を向いた。ら…1人の幼い少年が私の肩に掴まって寝ていた…
…は…?
「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!?」
うっかり叫んでしまった。…勿論、その言葉にはまた言葉が返ってくる。
少年は、覚えたての言葉を私の顔を見て言ったが、その後固まった。
「…どうかしたの?」
私は優しい声で問い掛ける。
「お姉さん…誰ぇ?…此処…何処ぉ?」
何も、知らない間に此処に来たらしく、もう泣いている。
「…大丈夫。私は悪い人じゃないから。悪い妖怪でもないから。」
何とかしてこの少年を宥めよう。何の解決にもならない。
「あと、此処はね、幻想郷と言って、忘れられた者が集う所なの。」
「げ…ん…そうきょう?」
「うんうん、幻想郷。此処の紅魔館という所で私は門番をやっているの。」
「じゃあ僕らは忘れられたんだ…」
…そっち!?
「あっ、どうかしたの?」
そういえば手に感じる重みがまだあったな…
「お姉しゃん、手を前にやってみて。」
「ん…?」
言われた通りにしてみる。
あれ!?手に感じる重みが無くなった…と思ったら、少年が持っていた。いや、抱いていた。
「風音抱いててくれたんだー!ありがとー!」
抱いてたって言う?それ。
「…お姉しゃん、何しゃいなの?」
「…200年以上…というか、覚えてない。」
「えっ」
「君は?」
「…僕は3しゃい、妹は0しゃい。」
生まれたばっか、か。
「僕は春流。僕には双子の妹がいて、風音と陽奈が…あれ!?陽奈は!?」
「あれ…名字、ないの?」
「…知らない」
春流は、名字を教えてもらっていないのだと、察した。
「…まぁ、いいわ。春流君、私の名字をあげる。変かもしれないけど。」
片方の子の事は二人ともどうしたのか、気にしなかった。