2011-01-28

近所のくそみそクリニックの横に、小さな公園がある。

毎日、その公園のベンチに座って弁当を食べてるおじさんが居た。

当時7歳で好奇心旺盛だった俺は、そのおじさんに近づき

「おじさんなんで毎日ここでお弁当食べてるの?」と尋ねた。するとおじさんはニッコリ笑って

「ボウズ。ホレ、これ食べるか?萌え豚の角煮だ」と言い、豚の角煮をわけてくれた。

なんだかんだで俺はその日以来、毎日おじさんの元へ行っては食べ物をわけてもらった。

そしてある日、俺がいつものように「おじさんっ!今日もなんかくれよ!」と行くと

「…今日弁当がファイナルベントウだ」とおじさんは低いトーンで呟いた。

さらにおじさんは「ボウズ…あの樹がなんだか知ってるか」と、公園内の樹を指差した。

俺は「え?えーと…モチモチの樹、ってみんなが言ってたけど…」と答えると

「そう。あの樹は正式にはトチノキという。俺はお前に食われた分、トチノキを食って空腹を満たしていたんだ」

と言い、俺をギロリと睨み付けた。なんだか恐くなった俺が「じゃ、じゃあね…」と去ろうとすると

おじさんは「サンバサンバアアアアアアア」と叫びながら俺に向かってダッシュ!

さらに「レ・レ・レその舌抜いたろか」などと言いながら狂ったように追いかけてくる。

俺は半泣きになりながら「ど、奴隷制度反対!」と叫びながらなんとか家に逃げた。

俺は調子に乗っておじさんの少ない弁当を食べすぎていたのだ。優しいおじさんは断ることも無く

俺に弁当をわけ、自らはトチノキを食べ空腹を満たしていたのだ。

トチノキの樹液には精神撹乱作用があり、大量に摂取すると脳に障害を起こす可能性もある。

数日後、おじさんは公園のベンチで座ったま遺体発見された。

俺は、悪いことをしてしまったなと涙が止まらなかった。

さぁ、明日草野球試合だ。俺は8番サードで出場する。頑張らなきゃ!

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