毎日、その公園のベンチに座って弁当を食べてるおじさんが居た。
当時7歳で好奇心旺盛だった俺は、そのおじさんに近づき
「おじさんなんで毎日ここでお弁当食べてるの?」と尋ねた。するとおじさんはニッコリ笑って
「ボウズ。ホレ、これ食べるか?萌え豚の角煮だ」と言い、豚の角煮をわけてくれた。
なんだかんだで俺はその日以来、毎日おじさんの元へ行っては食べ物をわけてもらった。
そしてある日、俺がいつものように「おじさんっ!今日もなんかくれよ!」と行くと
「…今日の弁当がファイナルベントウだ」とおじさんは低いトーンで呟いた。
さらにおじさんは「ボウズ…あの樹がなんだか知ってるか」と、公園内の樹を指差した。
俺は「え?えーと…モチモチの樹、ってみんなが言ってたけど…」と答えると
「そう。あの樹は正式にはトチノキという。俺はお前に食われた分、トチノキを食って空腹を満たしていたんだ」
と言い、俺をギロリと睨み付けた。なんだか恐くなった俺が「じゃ、じゃあね…」と去ろうとすると
おじさんは「サンバサンバアアアアアアア」と叫びながら俺に向かってダッシュ!
さらに「レ・レ・レその舌抜いたろか」などと言いながら狂ったように追いかけてくる。
俺は半泣きになりながら「ど、奴隷制度反対!」と叫びながらなんとか家に逃げた。
俺は調子に乗っておじさんの少ない弁当を食べすぎていたのだ。優しいおじさんは断ることも無く
俺に弁当をわけ、自らはトチノキを食べ空腹を満たしていたのだ。
トチノキの樹液には精神撹乱作用があり、大量に摂取すると脳に障害を起こす可能性もある。