東大出の従兄がけっこういい年になってからどっかのお嬢様と結婚した。上司の口利きだったので逆らえなかったらしい。
相手のお嬢様は、何でいい年したしかも極貧家庭出身の男との縁談を持ちかけられてしまったのかというと、若い頃に父親を亡くして母子家庭で暮らしてきて、三十路過ぎまで働いていたから。お金持ちの世界では父親がいないというのが婚活市場では思いの外大きな欠点になるのだなぁ、と、子供心に思った私だった。
従兄夫妻は今では一人娘と遠方で暮らしている。だが、従兄の実家に親子三人で帰省することはほとんどなく、年末に従兄が一人で帰ってくるだけだという。伯母は生前、何かしたわけでもないのに孫娘に会わせてもらえないと嘆いていた。