2018-07-23

觔斗雲(筋斗雲)に関する誤りの訂正

筋斗雲に関して、おそらくWikipedia経由で二つの誤解が広まっている。

「筋」は「觔」の単なる異体字である

http://tool.httpcn.com/Html/Zi/36/KOUYPWXVILXVRNDIL.shtml

jīn

同“筋”。

同“斤”①。

「斤斗雲」も日本人による当て字とされることがあるが、やはり「觔」の異体字であるらしい。

百度百科でも「筋斗雲表記であり、特に「觔斗雲」と区別されていないことがわかる。

https://baike.baidu.com/item/%E7%AD%8B%E6%96%97%E4%BA%91/32470

よって「本来は觔斗雲が正しく、筋斗雲ドラゴンボール造語である」というのは誤りである

これについて悟空筋斗雲の術を授かる場面を読んでみよう。

https://zh.wikisource.org/wiki/%E8%A5%BF%E9%81%8A%E8%A8%98/%E7%AC%AC002%E5%9B%9E

忽一日,祖師與眾門人在三星洞前戲玩晚景。祖師道:「悟空,事成了未曾?」悟空道:「多蒙師父海恩,弟子功果完備,已能霞舉飛昇也。」祖師道:「你試飛舉我看。」悟空弄本事,將身一聳,打了個連扯跟頭,跳離地有五六丈,踏雲霞去勾有頓飯之時,返復不上三里遠近,落在面前,扠手道:「師父,這就是飛舉騰雲了。」

(中略)

祖師道:「凡諸仙騰雲,皆跌足而起,你卻不是這般。我才見你去,連扯方才跳上。我今只就你這個勢,傳你個觔斗雲罷。」悟空又禮拜懇求,祖師卻又傳個口訣道:「這朵雲,捻著訣,念動真言,攢緊了拳,將身一抖,跳將起來,一觔斗就有十萬八千里路哩。」

ある日、祖師は門人たちと共に、三星洞のまえで夕暮れを眺めていた。「悟空修行はどうかな?」と祖師が言った。「師父の深い恩を受けて、この弟子修行を全うし、天高く飛ぶこともできます」と悟空が言うので、祖師は「試しに飛んでみせてくれ」と言った。悟空は待ってましたと立ち上がり、続けざまにトンボ返りをして、五・六丈も跳び上がって雲を踏むと、食事をするほどの時間三里距離を往復し、祖師の前に降りてきて一礼し、「師父、これが飛挙騰雲の術です」と言った。

(中略)

祖師は「仙人たちは皆、足を踏み鳴らして跳び上がるが、おまえはそうではない。私が見たところ、連続トンボ返りをして跳び上がっていた。その癖を踏まえて、おまえに筋斗雲の術を伝えよう」と言った。悟空がまた感謝し、教えを求めると、祖師は口訣を伝えて、「印を結び、呪文を唱え、拳を握り、身を震わせて跳び上がれば、トンボ返りひとつで十万八千里の道を行く」と言った。

翻訳適当申し訳ないが、この箇所からは「トンボ返りをしてから雲に乗る」ことが分かる。

決して「雲に乗ってからトンボ返りをしている」わけではない。

作中の他の箇所でもそのような描写はなかったはず。

よって「術者は雲の上でトンボ返りを切り続ける」というのは誤りである

誰か、せめてWikipediaに「要出典」を付けてきてほしい。

  • とんぼ返りひとつで10万里~ってところで「摩訶不思議アドベンチャー」の最初の映像で悟空が筋斗雲に乗りつつとんぼ返りしてるシーンがあったと思うが、意外とその辺原点に無駄に忠...

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