私はアニメの絵コンテが好きです。そこには監督や演出家が考えた「生」の表現があるからだと思います。最近買った絵コンテは、最近でもないですが『君の名は。』のちょっと後に公開された『この世界の片隅に』です。絵コンテは片渕須直監督と監督補の浦谷千恵さんによって描かれています。そこにはあの濃い原作をどうアニメーションに落とし込むかの筆致が出来上がった映画以上に濃く感じ取れます。
原作があるのですから、原作の駒を貼っても良いわけです。少し古い作品になりますがTVアニメ『魁!!クロマティ高校』は意図的にかどうか漫画の切り抜きで絵コンテが構成されていました。基本的にはこちらが例外で、絵コンテは監督や演出家が「表現」としての設計図の役割を持っています。
『この世界の片隅に』の絵コンテは原作漫画の魅力に加え、数年にもわたって監督が広島に通って得た膨大な取材の結果が通りの一本一本、呉の港に列ぶ戦艦一隻一隻まで、絵コンテを読む魅力に溢れています。
『君の名は。』についてはどうでしょう。さすがにパクりや盗作とは言い過ぎと思います。ただ、宇野鋼之介監督は「(新海)監督の中でキチンと変換できていればそれはオリジナル。」と軟らかく書いていますが、キチンと変換するというのは他の作品のカットを持ってきてトレスすることでしょうか、と疑問もわきます。あの三葉の家は箱で書いて「宮水家右手側面・設定参考」で良かったと思うのだが。庵野秀明は引用の名手と思っていますが、新海監督ほどには迂闊ではないように思います。オマージュなら隠そうともしませんし。
さて、この騒ぎの収穫は以下のレビューが読めたことです。
「 君の名は。 - Hold Fast that Which is Good」
http://yokimono.hatenablog.com/entry/2016/09/11/220139
これだけは新海監督に対して声を大にして言いたい!
で、最後にひとこと。