2016-12-04

[] #8-3「おにぎりの具」

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俺たちは近くの店に向かった。

ドコゾ系列スーパーということもあり、とりあえずここを調べれば他も大体同じである

「誰が調べにいく?」

「マスダの兄さんは先ほど調べにいったから、また行くのは不自然だ。それ以外がいい」

「じゃあ、ミミセンがいくか?」

「僕は耳栓をつけていないと思考が働かないのは知ってるだろ。色々と精彩を欠く」

そう答えるミミセンの声は、自分で思っているよりも小さい。

シロクロは“アレ”だし、タオナケは超能力が暴発したら大事なので、弟が調べに行くことにした。

俺たちは堪え性の無いシロクロを押さえ込みつつ、離れた場所から見守る。


弟の動きは妙にぎこちなく、まるで「別の何か」を警戒しているようだった。

おにぎりの陳列コーナーに向かうかと思いきや、その隣の棚に向かう。

そこからおにぎりが陳列されたコーナーを覗くようだ。

そうして数分後、弟の動揺が見て取れるほど身じろぐ。

から弟に聞いたのだが、このとき棚のおにぎり昆布ひとつ消えたらしい。

消えた昆布の在り処を探そうとしたときレジに向かう客のカゴに目が移った。

その客がとったおにぎりは鮭であって、昆布は手にとっていないはずなのに、なぜかカゴに入っていたのだ。

驚いた弟はその客のもとへ向かいそうになったが、すぐに思いとどまり今回の昆布の謎を思い出していた。

あの客を追うのはミスリード、本当に追うべきは「あのカゴに昆布おにぎりを入れた奴」なのだ

弟は辺りを見回す。

手段は分からないが、それでもそいつを探すことは不可能ではない。

もし、何らかの手段でカゴに昆布おにぎりを入れた奴がいるなら、それがレジを滞りなく通過して、その客も「あれ?……まあ、いっか」となる場面を見届けたいはずだ。

それを眺めている奴がいる可能性が高い。


……いない!?

アテが外れたのか……いや、そうではない。

いたのだ、近くに一人。

気づいた弟は逸る気持ちを抑え、競歩で近づく。

走るような速さの弟は、常に足のどちらかは地面に接していた。

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