知り合いの写真学校にも通わせてくれたから、なんとかひどいけど撮れる程度にはなった。
でも、撮るものがなかった。
ビルやら、鳥やら、海やらをとりあえず撮っていた。
先週、父親の会社でミラーレス機でだが、新卒募集用のサイトの写真を撮らせてくれたときは嬉しかった。
クソみたいな映像系の学部に通っている自分の技能や経験を頼ってくれたことと、若い女の写真を撮れるからだった。
顔がよくない女と、顔がいい女の写真を撮った。
手汗でカメラがねちょねちょした。
社員がなにも考えずに撮るよりも、うまく自分は撮らなければいけないという思いと、顔がいい女の目をディスプレー越しではあるが初めて見たので怖かった。
どちらも優しくしてくれるけど、顔がいい女の方が話すときも写真を撮るときも緊張した。
正直、顔のよくない女は雑に撮った。
なぜか自分はそうしたのだ。
顔がいい女には大量にシャッターを切った。
顔がよくない女の方はなんともおもわなかった。
顔のいい女を撮っている自分はただただ惨めだ。
それは被写体に金を払ったり、お願いをしたりしなくてもだ。金を貰ったり、逆に女からお願いをされてもだ。
惨めすぎて、悔しくなってくる。