文系からの理系転向組で、入社当初は右も左も分からない状態だった。
「お前には一生かかっても無理」
「どうしてこんな出来の悪い奴の相手をしなきゃいけないんだ」
などと暴言を吐かれ続けた。
教育の内容と言えば、これを読めとばかりに本を貰うだけだった。
私は悔しくて夜も寝ずに勉强した。
受験の時より3倍も勉强した。
分厚い技術書を100冊読んだあたりで、先輩の言うことが分かるようになった。
むしろ、その程度の事を、どうして偉そうに話せるのか、疑問に思うようになった。
元々、私の地頭力は高かったのだ。
私の飲み込みの速さは部署内でも噂になるほどだった。
2年目の半ばにして、先の先輩より力をつけてしまった。
そして、その時が来た。
新しい案件の設計において、その先輩がこんな複雑な設計は使えない、と言い出した。
私は、「他所では普通に使われている設計パターンですよ」と言いたいのを飲み込んで、
「そうですね。チームの一番下に合わせないとプロジェクトは動きませんよね」
と言ってしまった。
周りの反応は様々だった。
プッと噴き出す者、気まずく沈黙する者、それは言っちゃいけないと目線で制する者。
先輩は顔を真赤にして震えていたが、何も言い返してはこなかった。
それからはギクシャクした空気の中で仕事をこなして、定時で帰ってきた。
心が重い。
うわっ、わたしの後輩、低すぎ!?
分厚い技術書を100冊 いや、100冊は言いすぎだろー。 いい技術書って1冊を完全に理解するのに時間がかかるものだし、逆に1冊を本当にマスターできたら、その分野の書籍は読む必要...