秋の冷たい風が肌に当たってひりひりする日。
俺は銀杏の木の下に居た。
『俺』という一人称だが、俺はれっきとした
女である。
殺気優佳(さっきゆうか)。
それが俺の名。
受験のことなど全く考えていない
中学三年生だ。
俺は母親が居ない。
父が浮気をし、
クラスの奴らはそういうことを
___こっちは別に気にしていないが。
人を信じる気にもなれない。
信じたくない。
思うんだが、人間とはなんでこんな
最悪な種族なのだ?
___それだけの理由?
本当嫌になる。
そんな俺だが、一人だけ信じれる人がいた。
小学校に入る少し前のことだ。
「優佳ちゃーん!!」
・・・なんだまたお前か。
何だっけ??
もう結構前のことだ。
全然覚えていない。
ただ、明るく優しい顔だけを____
俺は信じることができた。