2011-01-31

みんな僕をおいていくな

僕がインターネットを利用し始めたのは16歳ごろだったと思う。

その当時ある写真好きの学生が運営するブログと出会う。

その少年芸大をめざし、日々ファインダーと向き合う生活していた。

オレンジ色の背景のブログには屈託のない彼の文章と、彼だけにしか撮れない写真がいっぱいあった。

僕は興奮した。ドキドキした。わくわくした更新されるのが楽しみで仕方なかった。

だって、人の生活をのぞき見するってすごくワクワクするでしょ?

それが自分と同じような年齢で、なにかに挑戦しようとしていて、輝いていたら、

すごくワクワクしない?それがすごくリアルを帯びていたらワクワクするよね?

とにかく、ディスプレイ越しに見えた彼の世界は僕を虜にしたんだ。

安直な考えかもしれないが、僕はカメラを買うことにした

少しでも彼の見ている世界に追い付きたいと思ったからだ。

もちろん一眼は買えない。バイトをして程度の良い一眼ライクなデジカメを購入した

とにかく、そのカメラを持って東京を歩き回った。

秋葉原新宿お台場池袋中野高円寺下北

今までの僕なら、怖くて行くこともかなわなかったろう。

だけども、カメラファインダーを覗いている間は僕は無敵になれた。

暗闇の中にファインダーで切り取られた世界けがぽっかりと覗いている。

そんな世界を僕は歩き続けた。

同時に、flickerブログなども始めた。

きっと焦っていたんだ。ずっと追い付けないことに焦ってたね。

彼の写真はさ、奇跡的な一枚でもないし、すんごく考えられた構図でもない

人種もんだいとか飢えとか政治問題とか、そんなんじゃないんだ。

どこにでもあって、誰でも撮れそうな写真なんだよ。

ただ、その写真1枚にはとんでもないほどのエネルギをもってる。

その1枚彼のリアルがあった。


彼のブログはあっという間に有名になった。

今では写真仲間と上京してルームシェアして日々を送ってるらしい

もうブログは読めない。直視できない。

もはや、彼のブログは僕にとって憧れではなく、嫉妬の塊になりつつある。

憧れだったものが嫉妬に変わるものほど惨めなものはない。

今日も彼は、ブログの中で仲間たちとの打ち上げの報告をしている。

僕はPC前にぶちまけた飲みかけのジュースを泣きながら拭いている。

どうしてこうなったんだ。

あっという間に成人だ。ついこの間成人式に出席してきた。

みんな変わってた。みんなからお前は変わってないなと言われた。

おいていくな。助けてくれ。手を貸してくれ。

僕と君の違いはなんだ。教えてくれ。

墨田区の小さくてボロアパートの一室でやっと買った一眼を握って今日も震えている。

手に力が入りすぎて汗でジットリ濡れてるんだ。

こんなにシャッターが重かった?

机は現像した、干からびた写真で埋もれてる。

すぐ横で、スカイツリーがどんどん成長している。

ファインダーを覗く僕はもう無敵じゃない。たすけてくれ

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