2010-06-24

この世で確実なのは、死と税金社会保険料だけである

標準報酬月額っていうのがありましてね。

サラリーマンなら名前くらいは聞いたことがあると思いますが、その仕組み自体を理解している人は、あんまりいないのではないかなぁ…と思ったり思わなかったり。

少なくとも、私はつい最近までさっぱりでございました。

標準報酬月額は社会保険料の算出元の金額です。

社会保険料とは、厚生年金保険料健康保険料の事。健保厚年っていうとプロっぽい。

給与明細を見れば、健康保険料と厚生年金保険料でかなりの金額が引かれているので、これだけの金額を支払っているのだから、仕組みくらい理解しないといかん!と。

そう思った訳です。

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一応、ここからの話は、私が調べた限りの事なので間違ってるかもしれません。

でもって、2009年現在法律で書いています。

なんせ、専門家じゃないし専門家が周りにいないので、正解かどうか確認することも…。

ただ、そこまで大きく間違ってないと思うんですが。

あ、一応、厚生年金は「支払った分が帰ってくる(はず)」なので、多く払えば、安定した老後が待っているはずです。たぶん。

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たとえば、標準報酬月額が30万だとしたら。

厚生年金保険料は18等級で46,050円。労使折半なので、自分の負担は23,025円

健康保険料は22等級で24,600円。労使折半なので、自分の負担は12,300円。

健康保険料は介護保険第2号被保険者に該当しない場合

※標準報酬毎の等級は社会保険庁Webサイトへ。

http://www.sia.go.jp/seido/iryo/iryo11.htm

なお、健康保険料は加入する保険組合で変わります。

上記金額は全国健康保険協会管掌健康保険料。大きなカイシャの保険組合は同じ等級であってもかなり安かったりします。トヨタなんか5,850円ですぜ。従業員負担額。全然違う!

まぁ、そんなわけで月々35,000円くらいが引かれていくわけです。この場合

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では、この標準報酬月額はどのように決まるのか?

それは、4月5月6月の固定的賃金と、非固定的賃金の平均額で決まります。

これが、いわゆる定時決定と言われるもの。

8月に確定し、9月分の保険料から適用され、10月給与より引かれます。一ヶ月遅れで。

じゃ、定時決定の材料になる、固定的賃金と非固定的賃金とは?

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固定的賃金とはなにか?

固定的賃金とは基本給や扶養手当、住宅手当、通勤手当都市手当、住宅手当など。

毎月定額で支払われるモノ。だから、固定的賃金

非固定的賃金とはなにか?

時間外手当(残業代)、各種勤務手当(夜勤手当等)、皆勤手当、精勤手当など。

支払われたり、支払われなかったり、金額が変動したりするモノ。だから、非固定的賃金

この固定的賃金と非固定的賃金4月5月6月の平均額が、標準報酬月額となるのです。

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私はここで「え?」と思いました。

通勤手当住宅手当が、固定的賃金として含まれているのです。

得に、通勤手当は非課税なのですが、標準報酬月額の算定には含まれます。

尚、通勤手当住宅手当はカイシャによっては半年に一度や四半期に一度、まとめて支払われると思いますが、これは自動的に月ごとに分割されて計算されます。ご安心を。

たとえば、柏から池袋に通い(定期代77,110円)、月々4万円の住宅手当を貰っている社員と、池袋実家があり、実家から通っている社員だと、標準報酬月額がどれくらい違うのか?

定期代は6ヶ月で割るので12,851円。家賃とあわせると月々約53,000円。

社会保険料の等級は2万円で1等級あがります。53,000円だと2等級ないし3等級違う。

1等級上がる毎に、健康保険料は約1,000円。厚生年金保険料は約1,500円。(注:大雑把)

標準報酬が30万と34万だと、4,710円(折半済み)変わってくるのです。

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非固定的賃金は、殆どの人が主に残業代を占めるでしょう。

4月から6月(実質は3月から5月)までは残業代抑えておけよ」なんていう事を言われたりしませんでしたか?先輩に。それは、この標準報酬月額の算定月だからなのです。

じゃ、年度末や年度初に忙しくて、それ以外が暇な人には凄い不利じゃん!と思うでしょう。

その通り、そういう人達には、もの凄い不利だったりするのです。この計算方法。

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大げさな例えではありますが、固定的賃金が20万円の人で。

3月から5月の超勤が20万円を越えていて、残りの月が0円の人と。

3月から5月の超勤が0円で、残りの月が20万円の人。

前者の人は、厚生年金38,375円と健康保険20,500円の58,875円を1年間。

後者の人は、厚生年金23,025円と社会保険12,300円の35,325円を1年間。

その差額は、23,550円。月給だけで、年間282,600円の差。後者の方が、年収は多いのに!

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そんな!

国の制度が、こんなにも不平等な訳ないじゃないか!

年末調整って、こう言うためにあるんじゃないの!?

残念ながら、年末調整社会保険料は全く以て無関係です。

沢山払った健康保険料と厚生年金保険料年末調整では帰ってきません。

社会保険料を何のために支払っているのか考えれば、当然ではありますが。

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でも、でも!

随時改定ってあるじゃん給与が変動したら、随時改定が発生するんじゃないの?

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随時改定とは、以下の両方の条件に当てはまった場合に発生します。

1. 固定的賃金に変動があったこと。

2. 固定的賃金の変動があった月以後引き続く3か月の間に受けた報酬(非固定的賃金を含みます。)の平均月額によって求めた標準報酬の等級と現在の標準報酬の等級との間に2等級以上の差が生じたこと。

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はいココ、テストにでるよー!この辺がもの凄く重要なんだよー!

ってなわけで、随時改定は固定的賃金の変動でしか発生しません。

非固定的賃金が100万円変わろうが、随時改定は発生しません。残念賞

固定的賃金の変動は昇給改定で基本給が変わったり、通勤経路が変わって通勤手当が変わったり、子供が生まれて扶養手当が増えたりしたら、随時改定のトリガになります。

2等級以上変動ということは、月々4万円の変動です。

昇給改定や、通勤経路、扶養手当くらいで4万円は普通変わりません。

固定的賃金のみで随時改定が発生するとしたらば、住宅援助金の新規付与くらいでしょう。

だがしかし!先ほどの条件を見てみてください。

「非固定的賃金を含みます」と書いてありますよね。つまり、残業代とかも関係してくる。

非固定的賃金の変動だけでは随時改定が発生しないのに、固定的賃金の変動の際に発生する標準報酬月額の再計算では、非固定的賃金が入ってくるのです。基本給が変われば、当然超勤の基礎額も変わってくるので、当然と言えば当然ですが。

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たとえば、11月通勤経路が変わって通勤手当が6,000円増えました。

一ヶ月あたり、1,000円です。当たり前ですが、それだけでは随時改定しません。

でも、12月がとても忙しくて1月給与で12万円の超勤が発生しました。

その人は標準報酬月額が30万円です。

11月給与12月給与は、両方とも30万でした。でも、1月は42万。超勤代込み。

標準報酬月額は「固定的賃金の変動があった月以後引き続く3か月の間に受けた報酬(非固定的賃金を含みます。)の平均月額」です。(30万+30 万+42万)/3ヶ月は、34万円。

30万円から34万円は2等級差。目出度く、標準報酬月額はUPとなるのです。

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なお、固定的賃金が増えた場合には随時改定計算するトリガとなりますが、固定的賃金が増えた場合には、非固定的賃金がいくら減ろうが随時改定は発生しません。

逆に、固定的賃金が減った場合にも随時改定計算するトリガとなりますが、固定的賃金が減った場合には、非固定的賃金がいくら増えようが随時改定は発生しません。

なので。

3月5月にスゲェ忙しい人が、6月昇給普通企業昇給改定4月なのですが、カイシャに因って色々です)によって随時改定のトリガが発生しても、減るのは非固定的賃金ばかりなので、残念ながら標準報酬月額は変わりません。

さらに言えば、6月昇給する人は5月7月の非固定的賃金に因って随時改定が発生する可能性があったりするので、さらに注意。とはいっても、さすがに3月7月の超勤を抑えるなんて言うことは、マトモに働いていれば、できないですよねぇ。

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給与からは所得税住民税厚生年金保険料健康保険料と色々引かれているのですが、その実の所を、私はあまり理解していませんでした。毎月見てるのは振り込み金額だけで。

「愛している」の反対語は「無関心」だそうで。

私は俗物ですから、オカネをそれなりに「愛している」訳で、そうだとしたら「無関心」でいるわけにはいかないのです。愛しているならそれなりに関心をもって、考えていかないと!

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厚生年金保険料2004年から2017年度にかけて、段階的に4.72%引き上げられます。

2004年度には13.58%だったものが、2017年度には18.3%に(労使折半だけど)。

毎年0.354%ずつ上がっていくと殆どの人は気がつかないと思いますが、ざっくりと計算してしまえば、年収500万の人は、2004年度に約 34万だったのが17年度には約46万という計算

物価スライド昇給改定があるので、たとえ話にしかならないんですけど。賞与は別だし。

厳密に言えば、厚生年金は絶対に払い損にはならないし(足りなければ国税から補填されるだけなので…その国税も、所得税とか消費税ですけど)、会社が未加入の場合を除いて払わない方法はないし(違反です)、労使折半なんだから、さくっと払った方が楽です。…たぶん?

ま、頭が悪いので、政治経済なんかの難しい話は理解できないってのもあるんですが。

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ただ、標準報酬月額の算定だけは解せない!

給与計算が手計算で行なわれていて、標準報酬月額の申請が書類で大なわれていた数十年前ならまだしも、今は殆どの会社で人事給与システムが構築されて、社会保険庁への標準報酬月額の申請までシームレスに行なわれているはずなのに、旧態依然の仕組みのまま!

システム化によって、月ごとに変動した支払額の算出だって可能なはなのに。

さらに、昔に比べて非固定的賃金の割合が増えて、月々の給与の変動が多くなっているので、4月から6月給与が1年間の社会保険料の基礎額になるのは、如何なモノかと!

一応、4月定期昇給とか給与改定(ベア)が行なわれるからっていう大義名分はあるけど、殆どの会社で忙しい時期って言ったら、そりゃ、年度末年度初に決まってるじゃんねぇ…。

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ま、長々と書きましたが。

毎月の支払い額が多くても将来年金いっぱい欲しい人は、3月から5月仕事頑張りましょう。

6月昇給とかある場合には、5月から7月にも頑張りましょう。もれなく上がります。

住宅援助金貰って、さらに遠い所んで通勤手当を上げれば、さらに増額!

将来不安でも、今遊ぶ金が欲しい人は、逆の行動を。

ついでに!

算定期間中に、福利厚生費とか申請すると、それも非固定的賃金に含まれてラッキー

私はそれを知らずに、7月に元気よく申請して、今泣いてます。嗚呼。

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