でも「本数がちょっと増える」などと言っているのは少し、悪意がないのだとしても作為を感じる。樹齢数十年の樹木と数年の若木とでは、全く違うものだ。二酸化炭素の吸収量、木陰が作るヒートアイランド現象の軽減能力、近隣の人たちが一緒に育んできた時間。そういったものは、取り返しがつかない。どうしても数値が必要なら、樹木は「トン」単位で語るべきである。
もちろん、老齢の樹木が弱って突然倒れたりする危険があるので、都市部の街路樹は定期的に若くて元気な木に更新していくことが望ましい。だから一切手を加えるべきではないなどとは、もちろん思わないけれども。
「○○トンの木を切ります。代わりに○○トンの木を植えるので、少し増えます」と何故言えないのか。どうしても、そこに欺瞞を感じざるを得ない。