深爪するようになったのはいつ頃からだろうか。正直憶えていない。ただ受験勉強をしていた時、深夜に休憩する際にはよく爪を切っていたことを記憶している。
社会人となった今でも深爪してしまう癖は抜けず、パチンッパチンッと快い音を響かせながらつい限界ギリギリを狙ってしまうのだ。
つい先日のこと。休日なのでのんびりしていると、爪が少し伸びかけていることに気がついた。
早速爪を切ろうと右手に持った爪切りをまずは左人差し指へと近づけていく。
パチンッ。…あっ。
失敗した。爪切りは人差し指の先を喰い千切るように抉り、じんわりと、それから鋭い痛みが襲った。ゆっくりと血は流れ続け、爪はなくなり、消毒液をかけると激しく滲みた。
自らの不手際を呪いながらも後悔はなかった。というよりも痛みより悔しさが勝っていた。