そんなの嘘だろ、と吹っ掛けるとその子は少しムッとし、「じゃあ増田君に催眠術かけてあげる」と言って俺を目の前に座らせた。
それからコインを取り出し、5円玉のように中央が空いていて紐で結んであった。
そのコインをゆっくり揺らし、「あなたは今から――」と俺に催眠術をかけようと常套句のようなことをぶつぶつ呟き始めた。
でもその子は胸が大きくて、俺はコイン越しに見えるおっぱいばかりを見つめていた。
結局俺は催眠術にかからず、女の子は頬を膨らませるように憤ったが、近くで見ていた俺の彼女は腕組みしながら俺のことを見下し、機嫌悪そうに出て行った。
その様子を見てキョトンとする催眠女子に俺の友人が声をかける。
俺はこの時の友人が、一番賢く見えた。