うちの祖父は30年近く前に死んだ。
まだ小学校低学年の頃だったので記憶も曖昧で、覚えているのはただただ優しかったことくらいだ。
よく軽トラの荷台に乗せてもらって山の中にある田んぼに行った。
年端も行かぬ孫からみた祖父、母親からみた父親、父親からみた義父、祖母からみた配偶者、第三者からみた老人、祖父の人物像は凡そ私の記憶の祖父とは違うだろう。
ところで私は祖父の一番下の孫だ。
年齢順に仏になったとして、この世で最後に祖父のことを知る人間は、恐らく私だ。
もし私が忘れたら大好きだった祖父のことを誰も知らなくなる、自分の記憶すらあやふやなのに。
たまにそんなことを思い出しては何とも言えない恐怖に胸を掴まれる。
俺の祖父は25年くらい前に亡くなったけど、既にほとんど記憶がないなあ。この前ふと名前を思い出そうとしたら難しくて流石にショックだった(思い出したけど)。孫から見れば普通爺...