2022-08-31

「…………」

無言で見つめる俺に、由依は苦笑しながら言った。

「やっぱダメかな?」

「いや、ダメじゃないけどさ。そんなもん見てて面白いのかなって思ってな」

「あー……うん、最初はね、私もそう思ったよ」

「今は違うのか?」

「うん、なんていうかね、こういうのを一生懸命やってる人を見るのが好きなんだよね」

「そういうものなのか?」

「そういうものだと思ってくれればいいよ」

「そっか、ならいいんだけどさ」

まぁ本人がそれで良いというのであれば、俺が口出しすることでもないわけだが。

「でもカズにはちゃんと結果を出して欲しいからね!」

「おう! 任せとけ!」

俺は由依の言葉に大きくうなずいた。

今日よろしくお願いします」

放課後、俺は美春さんとともに双葉家の車に乗り込んだ。

後部座席に座っているのだが、運転席にいる壮年男性とは、一度も会話がない。

美春さんのお父さんらしいのだが、まだ名前すら知らない。

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