2021-05-15

anond:20210515212014

「私、あなたを愛していますの。心から愛していますのよ。何も喋らず、ただただ一緒にいるだけで、恥ずかしいくら幸福なのですよ。ああ、ずっと一緒にいたい。寄り添っていたい。あなたのしたいことを聞いて、あなたのしたいことをずっと一緒にしていたい」

圭子はそこで一瞬口ごもった。隈なき清純な本心を語る恥ずかしさが、圭子の中に僅かに戸惑いを生んだのだった。だがその戸惑いはすぐ打ち破られる。なによりも眞への愛の告白が先行したのだ。それはいかに眞を愛し信じ慕っているか証明していた。

「そして、……あなた赤ちゃんが産んでみたい」

「黙れ!」眞は考えるより先に叫ばずにはいられなかった。“黙れ”……口に出てしまってから言葉機微が尾を引いた。小動物の反射のように圭子が震えた。想像外の眞の叫びに、眞の明らかな拒絶に、圭子は怯えた。

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