力が無い
四肢がもげ、濁った色の血を吐き、息も絶え絶えで、でも死ねない不死者だ
半世紀ずっと一人で自分を欲を満たし、どうにかこうにかやってきた
いつか憧れのあの世界に行きたくて
あの世界を知った時、心底憧れた
いつか仲間になりたくて
焦がれて焦れて
何とかかんとかとても小さいニセモノの世界を作れた
疑似餌とインスタントで半世紀何とか自分の飢えを誤魔化して来たけど限界が近いのを悟った
あの世界に行きたい
幾度か掴んだけど蜘蛛の糸は全部ニセモノだった
けど
ようやく本物っぽい糸を攫めた
明る…かった
もう一人で戦わなくていいんだよと声が聞えた気さえがした
幾千もの手を持つ彼らが疲れきって横たわっていた体を持ち上げて、立たせて、綺麗な状態に戻してくれた
涙が止まらない朝
半世紀ぶりに孤独が晴れた
これからが楽しみだ