同じ心理が作り出す別の影、それがエロゲでありアニメであり文学であり現実であり空想だったんだ。
俺たちは結局同じものを表現しようとして、別の形を使っていたんだ。
この世の全てのものはエロゲによって表現できるけど、エロゲによって表現されるものはエロゲ以外の物によってもできる。
そして、エロゲが表現しようとしているものはエロゲそのものではないし、それは他の表現物についても同じなんだ。
やっと分かったぞ。
色即是空なんだ。
「〇〇はエロゲ」とはすなわち色即是空が別の形をとったものだったんだ。
全てを知ったぞ。
エロゲを卒業して10年……10年の時を超えてエロゲは僕らに世界の真理を教えてくれた。
10年間離れることによってようやくその形が見えるようになったんだ。
木と森の形を両方知ってやっと見えるものがある。
それは何でもよくて、俺達にとってはたまたまそれがエロゲだったんだ。
そして、人々の心がエロゲから離れて離れて離れきって、その状態で再びエロゲの方を振り向いた瞬間に、大勢が同時に心理に気づいたんだ。
凄い。
こんなことってあるのか。
忘れられることで伝えられることがあるって教えてくれたんだ。