夜の新幹線が好きだ。
これから旅が始まるという高揚感を、一瞬で過ぎ去る車窓の闇が落ち着かせてくれる。
冬は雪が降り、夏は緑が生い茂る東北の山々も、闇の中ではほとんど判別がつかない。
夜の新幹線は、光と闇だ。
明かりが増えてくると列車は減速を始める。
それは私に、私が確実に移動していることを教えてくれる。
日常的に過ごしているごく狭い生活範囲の外へ運んでくれていることを教えてくれる。
改札を抜けると、見ず知らずの他人が幾人も行き交い、そこでの生活圏が形成されている。
少しの間、私もそこにお邪魔をさせていただく。
この感覚が心底心地良い。
はやぶさのれよ・・・。 けちるなよ・・・。