もしあなたが一億円を持っていたとして、見知らぬ他人が来て必ず儲かる事業のため金が必要だと言ってきたら貸すだろうか?
すぐポンと出すというお人好しはおそらくいないだろう。
金を貸すかどうか「誰が使うか」ではなく「何に使うか」によって判断するというのはあまりに馬鹿げている。
これが非合理なのはなぜだろうか?
それは借り手と貸し手の間に情報の非対称性が存在するからである。
借り手の返済する意思や能力について、貸し手は同じ情報を共有することはできない。最大限できることは借り手の信用情報を利用することだ。
なんらかの主張に対し、持っている情報で劣る者がその主張自体を判断するのは困難だ。
「何を言ったか」で判断するのが合理的なのは、その内容が他の情報に全く依存しないか、聞き手が既に十分な情報を持っている場合に限るのである。
「その儲けた金で何をするのか」にまで納得できる答えがあるなら貸す場合もある。