「あの子たちは勉強すれば叱られるもんだと思ってるから、褒め言葉をストレートに受け取れないし、何を褒められているのかも具体的に言われないと分からないんだよ」
こういう環境で育った。「勉強しても叱られる」というより、「勉強すれば叱られる」。変わったこと、ちょっかいを出せそうなことをしていると叱られた。勉強しなければしないで叱られはするのだが、「お前は問3の選択肢を間違えた。どう総括するか示せ」などといった具体的なレベルで何時間と詰められるよりも、「勉強」という抽象概念を選ばせた方が言うことがまとまりづらく、怒りのエネルギーが低く済むから、しない方が安全だった。
褒められる練習も足りないし、褒められても大丈夫だっていう安心が全くなかったし、今もない。どんな交換条件が出てくるか、対価に何を奪おうとしているのかと警戒してしまう。