なじみのデリヘル嬢がいる。いつも軽く世間話をするのだが、その日は嬢の家族の話だった。小さな頃に離婚してたまに会っている父親に会って、就職先の話になったらしい。お前が就職する会社の給料は低い。まあキャバクラくらいなら副収入として働いてもいいんじゃないか?と。嬢は非常にショックだったそうだ。自分は現役のデリヘル嬢とはいえ(親は知らない。知っていたとしても)、親に水商売をすすめられるのは非常に気持ち悪く、デリカシーに欠けると思ったらしい。俺はその話を聞いて、体は売るが心は売らないみたいなのを思い出した。嬢はデリヘル嬢だが、家族との絆とか思い出みたいなのはちゃんと持っていたかったんだなと。それを思うと萎えてしまい、何もせず金だけ渡して帰ってもらった。今も時々そのことを思い出しては考えている。