2018-03-21

好きだった人との話

彼女と知り合ってからもう10年くらいの月日が流れた。

彼女とは一時期2年半くらいつきあって、その後別れた。

2018年現在は更にそこから5年の月日がたった。

今会えば、彼女はあの時の彼女ではないことを僕は知っている。

あるいはあの時の彼女とは今の表層部分にいる彼女は別の人格であることを知っている。

この間、2年ぶりに連絡を取った。

2年の間に彼女結婚したということを僕は知人づてで聞いていた。

彼女からの連絡は仕事の紹介だった。

自分のやっていた、大学助手を僕にやらないかと奨めてきた。

自分仕事が忙しく、代わりの人材を欲しいのだと、僕は現状を説明して断り、別の人を紹介する話をした。

そして、少しだけ、処理事項とは別のコミュニケーションのようなものを取った。

彼女は「鈴木さんはいつも忙しいのね」といった。

今までの人生彼女にそう呼ばれたのは初めてのことだった。

僕は「何それ?」と彼女に言った。

彼女は努めて大人の、知人として振舞おうとしているのだと思った。

彼女だった存在は知人もしくは友人へ姿を変えたように思う。

僕は彼女のことをとても好きだし、尊敬している。

僕は彼女とそうやって関係が持てているというだけで、誇りのように思っている。

そうやって彼女はたまに僕の近くに現れる。

もうとても近くにいることはないのかもしれないけれど、僕の人生においてとても大切な人だと思っている。

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