むかしむかし、あるところに浦島太郎という釣り好きの男がいました。
浦島がいつものように海辺で釣りをしていると竿がピンと張り詰めました。大物の予感です。
浦島が渾身の力で釣り上げると「どんぶらこ、どんぶらこ」という謎の音とともに大きな桃が釣り針にかかっていました。
桃を割ってみると中から男の子が出てきたので、浦島は「桃太郎」と名付け大切に育てました。
すくすくと育った桃太郎に浦島は言いました。
「おい桃太郎、遠いところに悪さをする恐ろしいやつがいるらしいんだ。退治してきてくれないか?」
「父さん、それならもう征伐してきたよ」
「え?」
「や、なんか、こないだ釣りをしてたら犬・猿・雉が亀をいじめてたんだ。亀を助けてやると『ご招待します』とか言って、どこかに連れて行かれたんだよ。そこでヒーローみたいに崇められてさ、美味い食事や豪華絢爛なダンスパーティーがあったりして。とても美しい女性もいたな。贅沢は敵だって、父さん、よく言ってたよね。ぼく、そいつらを全員ぶちのめしてきたよ」
「え?」
「で、この箱を持ち帰ってきたんだ。開けるよ」
「おいおい、やめろ」
桃太郎が浦島の静止虚しく箱を開けると、中からは大量の煙が出てきて桃太郎はおじいさんになってしまい、山へ芝刈りに行きました。