いつも通る車同士がすれ違えないほど細い路地。
ここは知る人ぞ知る近道で猛スピードを出す車も多い。
今日も安全運転でその道を通るとコンモリしたマフラーが道の真ん中に。
高校生が落としたのか?いやマフラーではない。やけに綺麗な模様、たぶん飼い猫だ。
こと切れたばかりか、よく見ると手足がピンと伸び切り、周囲には血だまりができている。
外傷は見受けられないが、倒れた側に大きな傷でもあったのだろう。
飼い猫が居る身分としてはなんだか暗澹とした気分になってしまった。
所要を済まして帰路、別の道で帰る手もあったがあえて同じ道を選ぶ。
猫の亡骸は既に無かったが血痕だけはそのまま残されていた。
猫が居ない分、出血量の凄まじさがより浮き彫りになっていた。
猫一匹からこれだけの血が出るのか、と思うほどの血液がぶちまけられていた。
この感覚、どこかで味わったことがあったな、としばし物思いにふける。