もうずっと昔のこと。
ヒト一人が生まれて、大人になって、そこからまたヒトが生まれるぐらいの昔のこと。
だったのに。
あの時はあんなに忘れないって思ったのに
忘れられるわけなんてないって思ってたのに
そんなことは不可能で
気が付いたらそのことを一度も思い出さずにいる日があって
そんな日が気が付いたら週に何度もあって
気が付いたらそれが1ヶ月の半分ぐらいになって
でも時々思い出して泣くんだよ
いつの間にか、思い出しても涙が出なくなって
いつの間にか 思い出せていたはずのディテールがあやふやになって
その頃の辛かったことなんてもう思い出せないけど
その頃の幸せだったことだけは何故か消えなくて
悲しみは薄れこそすれ
愛しさは消えることはないのに
それなのに、思い出せない
今もこんなに愛おしく思っているのに
忘れてしまう
砂時計の砂粒よりも小さい欠片になって崩れていくように?
素焼きの器から水が染み出していくように?
いつの間にか
その笑顔さえも