十角館の殺人を読んだ。うーん。なんかやっぱりこういった本格ミステリは自分には合わないのかもしれないなあって思った。
確かに十章の最後の一文にはびっくりした。痺れたといっていいと思う。なんじゃこりゃって思って、ちょっくらページを遡ったりもした。
でも、どうしてもそこで終わっちゃうんだよなあ。どういうことなのか自分で考えようとしない。
なぜ彼がその名前を名乗っているのか、またどうしてそれが可能だったのか想像しようとしないから、十二章の解決編でも膝を打つことができないんだ。
親鳥に餌をねだる雛よろしく、与えられる物語を漫然と読み進んでしまうから、大々的なトリックを用いた奇抜な犯罪が描かれていても、ふーんとか、ほーんとしか思えない。
つくづく読ませがいのない読者だなあと、客観的に思わされてしまった。自分はやっぱり人物の葛藤なり奮起なり、内面が好きなんだろうなあ。